「父と家族とわたしのこと」

「戦争トラウマ」という言葉をご存じでしょうか。
戦地に赴き生還した兵士が、
人の命を奪ってしまった罪悪感や多数の死を目にしたショックなどの
戦場で受けた心の傷により、PTSDを発症するなどして苦しむこと。
その「戦争トラウマ」をテーマにしたドキュメンタリー映画を見ました。

「父と家族とわたしのこと」

第二次世界大戦に従軍して帰還した兵士が、その戦争トラウマにより
妻や子供に酷い虐待を行ってしまう。
そうして育てられた子供が大人になり、さらにその家族や子供へも
さらに次の世代へも虐待が連鎖していく。
終戦から80年以上の時間が経過したいまも
そんな現実に苦しめられている人がいることを、私はきちんと知りませんでした。

戦争は人を殺すという意味で非道なものですが、それにとどまらず生き残った人々の心も殺し
さらにその周りの人たちの心をも何代にもわたって傷つけていくという事実を突きつけられました。
終戦を迎えて80年以上経ちましたが、本当の意味でまだ終わってはいないんだなと。
いまも戦禍の中にある人々がいます。
戦争が起こるたびに、命を落とす者ばかりでなくこうした「生きる犠牲者」を増やしてしまう。
そして、いまこの瞬間も生きる犠牲者を増やし続けているのだなと
改めて戦争の惨さの根深さを目の当たりにしました。

私の祖父も陸軍の兵士としてシベリア出兵を経験しています。
ただ、このことを知ったのは両親の死後で、
祖父の戦争経験については残った手紙で知ることしかできません。
祖父が家族に酷いことをしたという話は聞いたことがありませんが、
兵士の子孫として、私自身がそういった連鎖の犠牲になっていた可能性もあるわけで
決して他人事ではないなと感じています。


(シベリアから届いた祖父の手紙です)

このドキュメンタリーでは、当事者である子供や孫たちが
過酷な過去に苦しみながらも前向きに生きていこうと、
そして父や祖父の傷に向き合おうとする、複雑な心情に丁寧に寄り添っています。

「父と家族とわたしのこと」
5月15日から長野相生座・ロキシーで上映されます。
16日(土)には島田陽磨監督の舞台挨拶もあるそうです。
ぜひおひとりでも多くの方にご覧いただきたい映画です。

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